道具の話をこのブログでよくしているが、ものによって日本製が良かったりヨーロッパ製のが良かったりとそれぞれある。
それは副資材もそうで、糸や裏地、ボタンなども日本のものと海外のものは微妙に違ってくる。
僕が以前在籍していた職場ではほとんどの資材をイタリアから買っていたので、僕自身日本のものとイタリアのものとどう違うかはある程度把握しているつもりだ。
なので現在は自分の作る洋服に合った資材を日本、イタリア関係なく使用している。
日本の資材屋でイタリア製の資材がある程度買えるようになったのも選択の幅が広がった要因になっているのでそれも有難い話だ。
ただ、一つだけこれだけはヨーロッパ製の物の方が圧倒的に優れていると感じていながらなかなか手に入らないものがある。
白チャコだ。
以前鉛チャコの話を掲載したが、白チャコは生地に直接線を描くための道具で我々には無くてはならないものである。
このチャコが僕としては圧倒的にヨーロッパのものが良いと感じているのだ。
この白チャコというのは昔から日本でも作られている道具で、洋裁をする人なら大体使ったことがあるものだ。
有名なのは「人物印」という商品名の三角のチャコで、海外の資材屋のサイトにもあるくらいその界隈だとメジャーなチャコだ。
勿論僕も仕立て修行で初めて使ったチャコはこれで、その後もずっとそれを使ってきた。
しかし以前の職場ではイタリアのチャコを使っていてそこで初めてイタリアのチャコに触れたのだが、まず形に驚いた。
四角なのである。
そして、日本のチャコよりも少しやわく線も消えやすい。
最初は戸惑ったのだが、慣れてしまうとこの四角がなんとも使いやすい。そして生地をあまりこすらずにチャコの跡が消えてくれるので生地に対するストレスが少なくて済むのだ。
これ以降僕の中でチャコは絶対にイタリア製の四角いチャコが良いのだが、残念ながら日本では売っていない。
日本製も人物印以外にもいくつか作っているメーカーはあるのだが、全て三角だ。
せめて多少消えやすいものは無いかと全部のメーカーの物を使ってみて、中には良い感じのものもあるにはあるがイタリア製に比べるとやはり少しまだ消えにくい。(この消えにくいのが良いという方もいるのでこれは完全に僕個人の好みの問題ではある。)
また、たまたまイギリスのHancockというメーカーの四角いチャコを手に入れたので使ってみたが、これもイタリア製同様消えやすく使いやすい。
なので僕の中で白チャコはイタリア製かイギリス製の四角が最適解なのだ。
日本で売っていないなら直接海外の資材屋から購入するという事も考えた。実際コンタクトを取って買えることは可能なのも確認済だ。
ではなぜ買わずに二の足を踏んでいるのか。
答えは簡単で、僕の手元に届くころには確実に割れて入ってくるからだ。
以前の職場で仕入れていた頃も1箱に100枚入っているのだが1/3は確実に割れていた。
配送中に投げてないか?
勿論割れていても使えるのだが半分になったチャコは非常に使いにくい。というか割れてしまっていたらそれは商品として如何なものなのかという思いもあり、未だ仕入れに至っていない。
最近なんとか日本国内にあるHancockのチャコを3枚手に入れられたが消耗品ゆえすぐに無くなってしまうのは時間の問題だ。
という訳で僕の満足のいく白チャコ探しの旅はまだ当分続くのであった。
せめて日本製でも四角のラインナップが出来てくれれば良いのになぁ。
左から人物印、遊心(ゆうしん)、バタフライ。
真ん中の遊心が日本製では一番好みである。右のバタフライは中国のチャコで、なんと今はダイソーで買える。
これがイギリスのHancockチャコ。この形がとても使いやすい。
自作のチャコ削り器。
この形の削り器だと四角いチャコは削りやすいが三角だと削り難いのだ。
ちなみにチャコ削り器はアンティークの寄木造り風の箱を改良した。