少し前ですが、今年の夏に向けリネンとシアサッカーのダブルブレステッドスーツをご納品しましたのでご紹介させていただきます。

まずは先にご納品したリネン100%のスーツです。

このリネンはスペンスブライソンのアイリッシュリネンで、370gmとかなり肉厚、夏というよりは春や秋に着たい生地です。

色も少し明るめのブラウンですが、個人的にはこの色が肉厚リネンの生地で一番かっこいいと思っているので、作っている間も完成していくにつれ一人テンションがかなり上がっておりました。

また、肉厚のリネンといえば経年変化が醍醐味の服地です。

ウールを代表とする毛織物はシワになりにくい等、長く着てもあまり変化をしない事が特徴としてありますが、リネンやコットンなどの植物性織物はどうしてもシワが出来る分そのシワや変化を逆に楽しむのが一興です。

特に肉厚のリネンはシワの出方が独特で、ある程度着用を重ねて馴染んだ感じが適度に力の抜けた雰囲気になって最高です。

数か月着ていただいた後の画像です。

最初のピシッとした堅い感じも仕立て映えして良いのですが、この服が身体に馴染んでいく雰囲気(特に後ろ姿)はやはり唯一無二で素晴らしいですね。

次は夏の定番コットンシアサッカーのスーツです。

ウールやシルクのシアサッカーもありますが、やはり夏の定番といえばコットンのシアサッカーですね。

こちらは250gmと目方もちょうど良く、季節も初夏~秋まで楽しむことができます。

コットンシアサッカーは通常のコットンと違い逆にシワが目立ちにくいのが特徴です。

元から生地に凹凸があるのと色味の関係もありますが最初から軽くさらっとした雰囲気です。

また、リネンスーツには胸部分にバス芯という張りのある芯を使用してますがシアサッカーは生地の特徴を生かしてバス芯ではなく毛芯を重ねた仕様にし、より軽く仕立てております。

リネンとコットンシアサッカーはどちらのコンセプトも肩の力の抜けたスーツスタイルといえますが、生地の特徴が違えば作りや補正も違ってきます。

この辺りが仕立ての楽しさでもあり難しさでもありますね。

どうぞ2着ともガンガン着て馴染んでいく過程もお楽しみください!